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年間10,000人の役員・管理職が受検するWeb適性検査を利用したパワハラ撲滅に向けたアプローチ事例

  • 藤田 政博氏(関西大学 社会学部 教授)
  • 平井 俊宏氏(有限会社グローイング 代表取締役)
特別講演 [F-4]2023.12.21 掲載
有限会社グローイング講演写真

人的資本経営の実現に向けて、多くの企業が従業員エンゲージメント向上の取り組みを進めている。その主軸を担うのは、従業員個々の特性や能力を育てて発揮させる管理職。しかし上司の言動がパワハラだと部下に受け止められ、逆に従業員エンゲージメントを低下させてしまうことも少なくない。パワハラを未然に防ぎ、上司力を底上げしていくためには何が必要なのか。Web適性検査を研修や1on1に活用し、上司のあり方や部下との関わり方に軌道修正を促す、有限会社グローイングの取り組み事例を紹介。パワハラ発生の要因となる認知バイアスを研究する、関西大学の藤田政博教授を交え、一体感のある組織づくりに向けた処方箋を共有した。

プロフィール
藤田 政博氏(関西大学 社会学部 教授)
藤田 政博 プロフィール写真

(ふじた まさひろ)政策研究大学院大学准教授などを経て、現在は関西大学社会学部教授。専門は、社会心理学、法と心理学、法社会学。著作に『法と心理学(法律文化社)』『バイアス(新星出版社)』『バイアスはとは何か(ちくま新書)』等がある。この分野の第一人者として「認知バイアス」について学問的かつ実用的な説明に定評がある。


平井 俊宏氏(有限会社グローイング 代表取締役)
平井 俊宏 プロフィール写真

(ひらい としひろ)「一体感ある組織づくりで組織と個人の成長に貢献する」をミッションに掲げてパワハラ予防&撲滅支援に携わる。管理職教育用Web適性検査「パワハラ傾向振り返りシート」は2017年9月リリース。203社37,000名以上の役員・管理職が受検。効果的なパワハラ予防のアプローチとしてメディアからも注目を浴びる。


上司は無自覚のまま「パワハラ行為者」になることも

まず、本セッションのメインスピーカーを務める、有限会社グローイング代表取締役の平井俊宏氏が登壇した。グローイングは「一体感のある組織づくりで、組織と個人の成長に貢献する」というミッションを掲げ、パワハラ防止に向けたWeb適性検査とパワハラ傾向振り返りシートを2017年9月にリリースした。

ベースとなる適性検査は心理学のエモーショナル・インテリジェンス理論に基づいて開発されており、約10分程度、36問に回答することで受検者の特性を分析することができる。これまで上場企業や上場企業関連会社を中心に、人材採用や最適配置のシーンでの利用も含めると10万人以上が受検しており、パワハラ予防の文脈では3万7000人以上の役員・管理職が活用。最近では、プロスポーツチームのフロントやコーチ陣にも、適性検査を通じてマネジメントのあり方を振り返る機会を提供している。

同社のクライアントには、パワハラ撲滅やパワハラ相談件数ゼロを目標に掲げて取り組む企業が多い。しかし直近の2年ほどを振り返ると、パワハラの相談件数が増えた、あるいは横ばいのままの企業も多いという。 

「パワハラが減らなかった理由として、全社的にパワハラ予防に向けた取り組みが進められる中で、従業員がパワハラと思われる言動に敏感になり、結果的に申告が増えたことが考えられます。また、リモートワーク環境で働く人が多かった状況から出社して働く人が増える状況に切り替わり、上司の態度や言動に直接触れることでそのインパクトが大きくなっている可能性もあります」

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